事業主が基金に届書を提出すると、長期間にわたり加入員ごとに記録が管理され、掛金や給付の算定に用いられます。このため基金への届出モレがあったり、届書が正確に作成されずに提出された場合、加入員本人の掛金や年金額の計算において不利益が生じることになります。
また、基金から事業主への照会が行われ、事業主が回答を行う必要があるなど、余分な労力を費やすことになってしまいます。加入員の記録管理が適正に行われるためにも、届書は正確に作成し期限まで速やかに提出する必要があります。
■資格取得時の手続き
基金の設立事業所に使用される厚生年金保険の被保険者は、基金の加入員としての資格を取得します。
次のいずれかに該当したときは、事業主は『資格取得届』に必要事項を記入して、5日以内に基金と年金事務所へ提出します。
(1)事業所が基金に編入されたとき
(2)厚生年金保険の適用除外者が被保険者の適用を受けることになったとき
(3)事業所に使用されるようになったとき
(4)2以上の事業所に勤務していたことにより厚生年金保険の被保険者または他の基金の加入員であることを選択していたが、その事業所に勤務しなくなったとき
(1)に該当した場合は、年金事務所へは「資格取得届」を提出する必要ありません。
■資格喪失時の手続き
次のいずれかに該当したときは、被保険者と加入員の資格を喪失します。事業主は『資格喪失届』に必要事項を記入して、5日以内に基金と年金事務所へ提出します。
(1)事業所に使用されなくなったとき
(2)死亡したとき
(3)厚生年金保険の適用除外者になったとき
(4)70歳に達したとき
(5)基金が解散したとき
(6)事業所が基金を脱退したとき
なお、基金に提出する「資格喪失届」には、加入員の格喪失時の住所を正確に記入します。この住所あてに年金の裁定請求に必要な書類などが送付されます。
■標準報酬月額の手続き
事業主が加入員に給与を支払ったときは、標準報酬月額(基金では「報酬標準給与月額」という。)を基に計算した保険料と掛金を、年金事務所と基金に毎月納付します。
標準報酬月額は、加入員の資格取得時に決定されます。これを「資格取得時決定」といいます。
また、一度決定された標準報酬月額と実際に受け取る給与の額に差が生じた場合は見直しが行われます。この見直しには「定時決定」と「随時改定」があります。
加入員の標準報酬月額は毎年1回、定期的に見直されます。これが定時決定で、事業主は毎年7月1日現在において使用している加入員すべてについて、『算定基礎届』と『算定基礎届総括表』に必要事項を記入して、7月1日から10日までに基金と年金事務所に提出します。
6月1日から7月1日までの間に加入員の資格を取得した人や、7月から9月までに標準報酬月額が改定(随時改定または育児休業等終了時改定)される予定の人は定時決定の対象とはならず、算定基礎届の提出は必要ありません。
定時決定は、4月、5月、6月の3ヵ月間に受けた給与の平均額により算定されます。算定は、給与の支払基礎日数が17日以上の月を対象に行われ、17日未満の月は除外されます。
このようにして定時決定により決定された標準報酬月額は、原則としてその年の9月から翌年8月まで適用されます。
<保険者算定>
標準報酬月額の定時決定で、算定が困難な場合や算定結果が著しく不当になる場合は、基金と年金事務所において標準報酬月額を決定します。これを保険者算定といい、次のようなケースで行われます。
(1)4月、5月、6月の3ヵ月間に、3月以前の給与の遅配分を受けるか、または遡った昇給によって数ヵ月分の差額を一括して受けるなど、通常受ける給与以外の給与をその期間に受けたとき。
(2)4月、5月、6月のいずれかの月に低額の休職給を受けたとき。
(3)4月、5月、6月のいずれかの月にストライキによる賃金カットがあったとき。
平成23年4月からは、「当年の4、5、6月の3ヵ月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合であって、その差が業務の性質上例年発生すると見込まれる場合も保険者算定が行われることになりました。
これは、4〜6月は残業代が多く支払われる傾向にあり、この時期に決定された標準報酬月額を基に計算された高い掛金(保険料)を1年間にわたり納め続けなければならないという不均衡を解消するための措置です。
随時改定
資格取得時または定時決定で決定した標準報酬月額に比べ、加入員が実際に受け取る給与が著しく変動した場合は、標準報酬月額が改定されます。これを随時改定といいます。
事業主は、変動のあった給与の支払月から3ヵ月後に『月額変更届』に必要事項を記入して、基金と年金事務所へ提出します。
具体的には、現在の標準報酬月額と、実際に受けている給与を基にした標準報酬月額とを比較して2等級以上の差が生じ、その状態が3ヵ月間引き続いた場合に、14ヵ月目から標準報酬月額が改定されます。また、3ヵ月間すべて支払基礎日数が17日以上あることも随時改定の条件です。
■賞与支払い時の手続き
事業主が加入員に賞与(年3回以内)を支払ったときは、標準賞与額(基金では「賞与標準給与額」という)を基に計算した保険料と掛金を、基金と年金事務所に納付します。
標準賞与額は、加入員の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額になります。同じ月に2回以上支払ったときは合算額を端数処理します。厚生年金保険(基金)では支払いごとに150万円が上限になります。健康保険では年度累計で540万円が上限となります。
事業主は賞与を支払った日から、5日以内に『賞与支払届』と『賞与支払届総括表』を基金と年金事務所に提出します。