議員年金を今年4月に廃止する法案が今国会で成立する見通しとなった。
議員年金の廃止に向けた検討を行っている衆議院議会制度協議会では、与党と民主党間で現行制度を廃止したうえで、平成18年4月から新たな制度へ移行するとの認識で一致していた。
ただし、在職10年以上で受給権が発生する現職議員については、与党案は1.退職時に納付金(保険料)総額の80%を給付、2.現行法の年金額から15%を削減した年金を給付―のどちらかを選択。在職10年未満で受給権がない現職議員は、納付金総額の80%を給付する。
これに対し民主党案は、受給権の有無に係わらず、納付金総額の半額返還で対応するとしている。
また、過去在職通算10年以上で年金を受給しているOBについては、与党案は4〜10%削減し、他の所得と合わせて700万円を超えると超えた額の2分の1相当額を支給停止するが、民主党案は一律30%削減し、他所得と合わせて700万円を超える部分は支給停止するという厳しい内容。
昨年12月の衆議院議会制度協議会では、両案の詰めの議論が行われたが、隔たりが大きく意見一致には至らなかった。
今年に入っても折り合いがつかず、与党、民主党それぞれが廃止法案を提出することで合意、1月30日の衆院本会議で採決され、与党案が賛成多数で可決されることになった。
議員年金は、一般国民が加入する年金制度よりはるかに優遇されている点が問題視されていたことや、先の年金改革の審議中に、国会議員の多くに国民年金の保険料未納期間があることが発覚したことなどにより、批判の的となっていた。
その議員年金の正式名称は「国会議員互助年金制度」といい、1958年に制定された国会議員互助年金法に基づき、退職後65歳から支給される。
現行では、国会議員が納付する保険料は年約126万円。ただし、在職10年で年金の受給資格が発生する。10年未満でも、3年以上在職していれば一時金(在職期間に納めた保険料の8割)が返還される。
国民年金の場合、25年以上の納付で初めて年金の受給資格が発生する。40年払い続けても年金は年約80万円にしかならない。議員年金は412万円(在職10年の場合)で、在職が1年増えるごとに年約8万円加算される。さらに国庫負担割合が7割と、国民年金に対する負担割合3割とは比較にならない。
廃止に当たり「議員の老後保障はどうなる?」という反発の声もあるが、年金財源の悪化が深刻化する今、国会議員がこうした特権を持ち続けるのは妥当とはいえない。