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   高齢者生活の国際比較   

 
 内閣府は、日本の高齢者と諸外国の高齢者の生活意識を把握し今後の高齢社会対策の推進に資することを目的に、5年ごとに「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」を実施しているが、このほど第6回(平成17年11月〜平成18年2月実施)の調査結果を公表した。
 この調査は、日本と諸外国4ヵ国(今回はアメリカ、韓国、ドイツ、フランス)の60歳以上の男女(施設入所者を除く)を対象に行われた。
 調査結果の経済生活の項目をみると、[現在の生活費を何でまかなっているか]では、日本、アメリカ、ドイツで「公的な年金」(日本90.6%、アメリカ76.8%、ドイツ85.6%)の割合が高くなっている。 
 韓国では「子供などからの援助」(60.7%)の割合が最も高く、フランスでは「私的な年金」(63.2%)と「公的な年金」(61.4%)がほぼ拮抗して高い割合となっている。
 時系列でみると、日本は「公的な年金」の割合が増加傾向にあるが、「仕事による収入」の割合が減少傾向にある。また韓国では「子供などからの援助」の割合が減少し、「仕事による収入」の割合が増加傾向にある。
 [経済的に日々の暮らしに困ることがあるか]では、「困っている」と「少し困っている」を合計した数値でみると韓国が49.6%と最も高く、次いでフランス40.0%ドイツ29.9%、アメリカ27.6%で、日本は14.5%と最も低くなっている。
 [50歳代までに、老後の経済生活に備えて特に何かしていたか]では、各国とも「預貯金」(アメリカ64.7%、ドイツ58.8%、日本55.5%、フランス46.8%、韓国33.6%)の割合が最も高くなっている。アメリカでは「個人年金への加入」(39.8%)と「債券・株式の保有、投資信託」(39.6%)などの割合も高く、フランスでは「個人年金への加入」(31.4)の割合が比較的高くなっている。また「特に何もしていない」の割合は韓国が54.7%と最も高く、次いで日本が34.9%となっている。
 前回調査と比較すると、日本では「個人年金への加入」(27.6%→19.0%)と、「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」(14.7%→6.9%)が減少し、「何もしていない」(26.4%→34.9%)が増加している。
 [現在の貯蓄や資産は老後の備えとして十分か]については、「資産保有の必要性がない」の割合はドイツでは11.1%となっているが他の4ヵ国(韓国0.3%、日本1.8%、アメリカ3.7%、フランス5.3%)は低い割合となっている。
 「十分だと思う」の割合はアメリカ28.1%、ドイツ22.6%、フランス12.9%、日本12.6%、韓国7.4%の順となっている。前回調査と比較すると、日本では「十分だと思う」(7.2%→12.6%)が約5ポイント増加している。
 「やや足りないと思う」と「まったく足りないと思う」を合わせた割合をみると、韓国が65.8%で最も高く、次いで日本が45.3%となるなど、アジア2ヵ国は欧米3ヵ国(アメリカ25.6%、ドイツ26.0%、フランス28.1%)と比較して足りないと思う割合が高くなっている。
 次に調査結果の就労の項目についてみると、[望ましい退職年齢]では男性の場合は、日本、アメリカ、ドイツでは「65歳ぐらい」(日本38.5%、アメリカ47.9%、ドイツ53.5%)の割合が、フランスでは「60歳ぐらい」(59.4%)の割合がそれぞれ最も高くなっている。韓国では「70歳ぐらい」(38.3%)の割合が多いといった結果になっている。