1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が回復した。
厚生労働省は、6月6日に公表した「平成18年人口動態統計月報年計(概数)」によると、平成18年の合計特殊出生率は1.32で過去最低だった平成17年(1.26)を0.06ポイント上回った。人口学の世界では、出生率が1.3を下回る国を超少子化国家と呼ぶが、4年ぶりに脱出したことになる。
母親の年齢(5歳階級)別にみると、低下傾向にあった20歳代が上昇に転じ、前年低下に転じた30〜34歳が再び上昇、15〜19歳と45〜49歳を除く各年齢階級で上昇した。また出生順位別にみると、第1子、第2子、第3子以上ともに上昇しており、特に低下を続けていた第3子以上は12年ぶりに上昇に転じている。
平成18年の出生数は109万2,662人で、過去最低だった平成17年の106万2,530人よりも3万132人増加した。母親の年齢別にみると、減少を続けていた20〜24歳が12年ぶりに増加に転じた。また団塊ジュニアと言われる世代である30〜34歳が再び増加に転じ(対前年増1万3,073人)、更にそれより上の世代の35〜39歳で急増(対前年増1万7,333人)するなどで、出生数全体を押し上げる結果となった。
出生順位別にみると、いずれの出生順位も前年に比べ増加している。第1子出生時の母親の平均年齢は29.2歳で、晩産化の傾向が続いている。
一方、平成18年の婚姻件数は73万973組で、前年の71万4,265組より1万6,708組増加し、婚姻率(人口千対)は5.8で前年の5.7を0.1ポイント上回った。
婚姻件数は、昭和47年に109万9,984組と過去最高の件数となり婚姻ブームを呈したが、その後は低下傾向となる。昭和63年以降は増加に転じ、平成5年以降は増減を繰り返しながらほぼ横ばいで推移。平成14年から4年連続で減少し平成17年は過去最低の婚姻率となったが、平成18年は5年ぶりに増加となった。
初婚の妻の年齢(各歳)別婚姻件数の構成割合を10年ごと(昭和61年、平成8年、平成18年)にみると、ピーク時の年齢が上昇しその割合の高さは低下、高い年齢の割合が増加している。
年齢(5歳階級)別にみた妻の5年初婚率(女子人口百対)は、20歳代前半17.4、20歳代後半30.8、30歳代前半12.9、30歳代後半3.9とそれぞれ前年を上回っている。年次推移でみると20歳代は近年下降を続けていたが下げ止まりがみられ、30歳代は上昇を続けている。なお、平成18年の平均初婚年齢は夫30.0歳、妻28.2歳で、夫、妻ともに前年より0.2歳上昇している。
出生数の増加に大きく寄与しているのが婚姻の増加とみられているが、正規雇用の増加など雇用の改善により、結婚しやすい環境が整ったことが婚姻件数増加の背景にあると考えられている。しかし、団塊ジュニアが30歳代後半に差し掛かるなど、今後出産適齢世代の数が減少していくことが見込まれている。今回の出生数の増加や合計特殊出生率の回復は一時的な現象との見方もあり、引き続き少子化への対応が求められる。