今年に入って年金記録問題がクローズアップされて、国民の年金不振が高まる中、7月5日、民主党の長妻議員から企業年金連合会に対して、同様の問題があるのではないかという照会が行われた。
企業年金連合会ではかねてから、連合会年金の受給資格がありながら未請求となっている人が相当数いる実態は把握していたが、今回改めて調査・分析したところ、60歳以上の未請求者が平成18年度末で124万人とかなりの数にのぼっていることが判明した。
連合会は厚生年金基金を比較的短期間で退職した人(中途脱退者)や、解散した基金に加入していた人などの年金の加入記録と資産の移換を受けて、年金(基本部分、上乗せ部分)を支給する業務を行っている。中途脱退者は、60歳になると連合会年金の受給資格を得られるが、実際に受給する場合は、本人の裁定請求の手続きが必要になる。
連合会では、59歳8ヵ月時点で複数基金の加入履歴のある中途脱退者の名寄せを行い一つの記録にまとめ、59歳11ヵ月時点で裁定請求書を送付している。しかし、退職後に転居し住所が不明な場合で未請求が多く発生している。
また、短期で退職したことや、基金の上乗せ部分を脱退一時金で受け取ったことなどから、本人が連合会年金の受給資格があることを認識していないことも、未請求の理由とされている。
“100万人超”と予想をはるかに上回る数字が公表される中、連合会は従来の対策では未請求者の解消は不十分であるとして、次のような方針を明らかにした。
(1)新聞広告やポスターの提示、チラシの配布、連合会ホームページなどを通じて、未請求者に対して年金の請求手続きをとるよう呼びかける。
(2)既存のコールセンターとは別に専用の企業年金コールセンター(フリーダイヤル 0120−458−865)を設置するなど、電話、文書(〒105−8799 東京都港区西新橋3−22−5 芝郵便局留 企業年金連合会 行)による問い合わせや相談を受ける体制を強化する。
(3)住所を把握している人で、年金の請求を行っていない人に対しては、請求手続きを行うよう通知する
(4)本人が加入していた厚生年金基金から連合会へ年金記録を引き継ぐ際に、本人に対して年金の請求手続きをより詳しく説明する(承継通知をハガキから封書に改め、パンフレットを同封する)。
(5)新たに連合会に移換された人のうち転居等により住所が不明になった人について、市区町村に住民票の交付を求めるなどの方法により住所の把握を行う。
(6)連合会ホームページから氏名や基礎年金番号などの情報を入力することにより、自分が中途脱退者であるかどうかの確認や、住所変更の連絡が可能となるシステムを構築する。
(7)現在、59歳11ヵ月到達時に裁定請求書を送付しているが、例えば55歳到達時などに連合会が管理している年金記録の通知や請求手続きの案内を行う。
以上の対策に加え、社会保険庁が保有する住所情報を連合会に提供することや、中途脱退者が連合会に住所変更の届出を行うなどの制度改正が必要としている。