国民の信頼に答えることができる公的年金の運営体制とするため、平成22年1月に社会保険庁を廃止し、新たに非公務員型の公法人として日本年金機構が設立される。
5年ごとの制度改正にあたり、必要に応じて行われてきた厚生労働省・年金局と社会保険庁の協議には、従来から次のような課題があり、改善が求められていた。
@協議の実施自体がルール化されておらず、現場の要請を確実に制度の立案に生かす仕組みとはなっていない。
A社会保険庁において、制度改正に関する現場の問題意識や国民の声を組織的に十分に集約することができていない。
B年金局において、社会保険庁の要請に対する対応の可否やその理由について、対外的な説明責任を果たしていない。
C制度改正によるシステム開発に要する機関の見通しなどが必ずしも十分ではなく、システム開発に追加的な期間や人員を要したことがある。
D役所間で行われる非公式の協議であり、外部の目によるチェックが働いていない。
厚生労働省は、5月19日に開催された第
8 回日本年金機構成立委員会に、「現場実務を踏まえた制度設計について」とする資料を公表し、新体制の下での新たな仕組みを示した。
新体制では厚生労働省が公的年金に係る財政責任と管理運営責任を担う一方、日本年金機構は厚生労働省の指導・監督の下で運営業務を行うことになる。
また、厚生労働省と日本年金機構の連携を確保し、従来以上に現場の実務を踏まえた制度設計や予算編成に努めていくこととされた。具体的には、厚生労働省と日本年金機構による定期的な協議の場を設置。日本年金機構による「現場実務を踏まえた制度改善提案・予算要望」と、厚生労働省による「回答」をそれぞれ文書にまとめて公表するなど、検討過程が透明化される。厚生労働省は日本年金機構からの提案をできる限り尊重するなどで、現場実務の円滑な実施が図られる。
現在、実務上の法解釈の権限と責任は、厚生労働省・年金局と外局である社会保険庁のいずれにあるか曖昧な面があるが、新体制では、新年金局の下で法解釈の権限・責任が一元化される。また、現場の職員からの提案と照会は、社会保険事務局に伝達され、事務局の判断により社会保険庁に伝達する仕組みとなっているが、現場からの提案・照会は直接、日本年金機構本部に伝達する仕組みが導入される。
個々の職員からの制度改善提案や疑義照会について、法律の解釈の明確化も含め緊急な対応が必要な場合や、事柄の性格上、公開の議論になじまない場合、日本年金機構の内部での意見集約に反映されない場合など、定期的な協議の場だけでは必ずしも十分に対応できないケースもあり、これを補完する仕組みが必要とされていた。
このうち緊急の対応が必要な場合には、定期的な協議の場を持つことなく、厚生労働省と日本年金機構の関係者により随時協議と調整を行い、適切な対応が行われる。
また、個々の職員からの提案や疑義照会については、日本年金機構においてさまざまな角度から検証した上で、「制度改善提案」を厚生労働省に提出することを基本に、さらに個々の職員は機構の窓口に通報し、厚生労働省に対して改善を求めることができる仕組みとなる。厚生労働省においては、必要に応じ大臣に報告し指示を受けつつ、機構との定期・随時の協議の場に諮るなどの対応を行うことになる。 |