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   船員保険制度改正   

 
 従来の船員保険制度は、健康保険相当部分(職務外疾病部門)と、労災保険相当部分(職務上疾病・年金部門)、雇用保険相当部分(失業部門)の三部門を有する総合保険として、旧社会保険庁が運営してきた。
 船員保険制度は、昭和15年に創設されて以来、船員とその家族の生活の安定や福祉の向上に大きく寄与してきた。
 しかし、社会経済状況が大きく変わり昭和40年代半ばをピークに被保険者数の減少が続く中、制度運営は厳しさを増し、昭和61年には公的年金制度の再編成の一環として、職務外年金部門を厚生年金保険へ統合するという見直しが行われた。その後も職務上年金部門の財政赤字が続くなどの状況の下、平成16年秋から制度のあり方に関する議論が開始された。その結果、平成19年に法律改正が行われ、平成22年1月の社会保険庁の廃止に伴い大改正が実施された。
 新船員保険制度の運営主体(保険者)は、運営コストを抑え、効率的かつ安定的に業務を実施する観点から全国健康保険協会に変わり、健康保険相当部分と船員の労働の特性に応じた独自・上乗せ給付を行うこととなった(ただし、船員保険制度の適用や保険料の徴収は日本年金機構が行う)。
 また、船員保険制度で実施してきた労災保険相当部分は労災保険制度に、雇用保険相当部分は雇用保険制度にそれぞれ統合され、厚生労働省が運営する。
 このため平成22年1月以降、船員保険制度の適用関係の届出や保険料納付の窓口が、社会保険事務局・社会保険事務所から、年金事務所、都道府県労働局、労働基準監督署または公共職業安定所に変わることになった。
○船員保険の届出・納付:年金事務所
○労災保険の届出:労働基準監督署
○事業主が行う雇用保険の届出:公共職業安定所
○労働保険料の届出・納付:都道府県労働局
 ただし、船員保険関係のうち疾病任意継続被保険者の加入と保険料納付の手続きは、全国健康保険協会の船員保険部が窓口となる。
 また従来、社会保険事務局・社会保険事務所、地方運輸局等の窓口で行っていた保険給付の窓口は、次のようになる。
○船員保険の給付:全国健康保険協会
○労災保険の給付:労働基準監督署
○雇用保険の給付:地方運輸局等
 離職後に船員以外の職を探す場合の雇用保険の給付については、教育訓練給付は本人の住所地を管轄する公共職業安定所に、雇用継続給付は事業所の所在地を管轄する公共職業安定所になる。
 船員保険制度の見直しにより、保険給付を行う運営主体は変更されるが、給付水準については、船員労働の特殊性を踏まえ、基本的に従来の水準が維持される。
 なお、新船員保険制度から支給される独自給付としては、例えば次のようなものがある。
(1)下船後3ヵ月間、職務外傷病の療養費用を100%給付(一般制度には存在しない)
(2)職務上の傷病について、4ヵ月間、100%の所得保障を実施(一般制度は60%)
(3)職務上の障害に対する年金の最低保障(一般制度より手厚い水準)
(4)職務上行方不明になったとき、3カ月間、100%の所得保障を実施(一般制度には存在しない)
(5)職務上の死亡に対する年金・一時金の最低保障(一般制度より手厚い水準)