国民健康保険(国保)では、世帯主が特別な事情がなく保険料を1年以上にわたって滞納すると、「国民健康保険被保険者証(保険証)」に替わり「被保険者資格証明書」が交付される。
被保険者資格証明書が交付された世帯では、世帯主だけでなくその家族も医療機関にかかったときは、いったん医療機関の窓口で、医療費の全額を負担しなければならない。このため、子どもが病気やケガをしても医療機関への受診をためらってしまうことが懸念されていた。
厚生労働省が平成20年に行った調査によれば、被保険者資格証明書が交付された世帯には、中学生以下の子どもが3万3千人にも上ることが明らかになった。
こうした事情を踏まえ、世帯の状況に係わらず子どもの医療の安心を守るため、平成21年4月からは、被保険者資格証明書が交付された世帯であっても、中学生以下の子どもについては6ヵ月有効の「短期被保険者証」を交付し、2〜3割の窓口負担で受診できるように制度が改正された。
その後、厚生労働省が行った調査によると、被保険者資格証明書が交付された世帯に高校生世代の子どもが1万1千人いるという結果が明らかになったため、平成22年7月からは6ヵ月有効の短期被保険者証を高校生世代にも交付することとした。
日本の医療保険は国民皆保険という形をとり、国民のすべてが必ず医療保険に加入して、保険料を負担し合って支え合う制度となっている。
会社員や公務員などの被用者は、勤務先で全国健康保険協会や健康保険組合などの被用者保険に加入する。自営業者や農林水産業に従事する人は、市区町村が運営する国保に加入する。被用者が離職して自営業者や無職になれば、被用者保険を脱退し、国保に加入する。
国保の年間保険料は、各市区町村が定める期限までに口座振替か納付書で納める。災害や盗難、傷病、事業の損失などの特別な事情がなく保険料の滞納が続くと、市区町村から督促状が送付され、また、滞納の期間に応じて次のような措置がとられる。
滞納期間が1年未満では、市区町村の窓口で保険証を返還し、有効期間が短い短期被保険者証が交付されることになる。この場合、期限切れごとに国保の窓口で交付を受け、その際に納付相談が行われる。医療機関では、通常どおり医療費の本人負担分を支払うだけで、診療が受けられる。
また滞納が1年以上になると、短期被保険者証の返還が求められ、被保険者資格証明書が交付される。被保険者資格証明書を使って医療機関で診療を受けた場合、医療費の全額を支払うことになる。その後市区町村に申請することによって、本人負担分以外の保険給付分の払い戻しを受ける。
さらに滞納が1年6ヵ月を過ぎると、保険給付分の一部または全部が差し止められることになる。
なお、最近の厳しい経済状況による影響で会社を離職し、国民健康保険の被保険者になるケースが多くなっている。
平成22年4月からは、倒産や解雇などによって離職を余儀なくされた人(雇用保険の特定受給資格者)や、雇い止めなどにより離職を余儀なくされた人(雇用保険の特定理由離職者)には、前年の給与所得を3割とみなして国保の保険料を軽減する制度がスタートしている。 |