事業主が従業員の雇用保険の加入手続きを行っていなかった場合、従来は2年以内の期間に限り遡って適用されていた。
平成22年10月1日からは被保険者期間に算入する期間の特例が施行され、雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかな場合は、2年を超えて遡って雇用保険の加入手続きが可能となった。
被保険者期間に算入する期間の特例は、平成22年10月1日前に離職した場合は対象とならない。離職後1年以内に失業給付を受給せず、次の職場で雇用保険の被保険者資格を取得した場合は、その時点から対象となる。また在職中でも、遡って雇用保険の加入手続きができる。
被保険者期間に算入する期間の特例は、次のいずれにも該当する場合に対象となる。
(1)資格取得届などの被保険者に関する届出がされていなかった。ただし、本人が事実を知っていた場合を除く。
(2)賃金の一部が労働保険の保険料として控除されていることが証明される書類(賃金台帳、給与明細書、所得税源泉徴収票など)に基づき、被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前に、被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から天引きされていたことが明らかである時期がある。
また、遡及適用期間の改善に伴い以下の内容の改正が行われ、平成22年10月1日に施行されている。
(1)「特例対象者」を雇用していた事業主が、雇用保険の保険関係が成立していたにもかかわらず、その届出をしていなかった場合には、事業主は「特例納付保険料」として、「対象事業主が納付する義務を履行していない一般保険料の額のうち、特例対象者に係る額に相当する額として厚生労働省令で定めるところにより算定した額に、厚生労働省令で定める額を加算した額」を納付することができる。
(2)厚生労働大臣は、やむを得ない事情のために勧奨を行うことができない場合を除き、対象事業主に対して特例納付保険料の納付を勧奨しなけばならない。
(3)対象事業主は、(2)により勧奨を受けた場合においては、特例納付保険料に係る保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し書面により申し出ることができる。
(4)政府は、(3)による申出を受けた場合には、特例納付保険料の額を決定し、厚生労働省令で定めるところにより期限を指定して、対象事業主に通知する。
(5)対象事業主は、(3)による申出を行った場合には、(4)の期限までに、厚生労働省令で定めるところにより、特例納付保険料を納付しなければならない。
なお、時効により消滅した給付がある場合や、給付を受けるための申請期限を過ぎた給付がある場合などは、給付が変更されないこともあるため、ハローワークへの確認が必要となる。
また、遡及適用期間の改善により給付が有利になる場合もあれば、不利になる場合もあるため、事前にハローワークへ相談が必要となる。
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