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   協会けんぽの保険料率改定   

 
 協会けんぽは厳しい財政状況の中、平成22年度の健康保険料の大幅アップに引き続き、平成23年度の健康保険料についても引き上げざるを得ない状況となった。
 平成23年度の全国平均の保険料率は9.50%と、平成22年度(9.34%)から0.16%引き上げられる。
 保険料率が最も高いのは9.60%の北海道(0.18%増)と佐賀県(0.19%増)で、最も低いのは9.39%の長野県(0.13%増)となった。
 40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者は、全国一律の介護保険料が上乗せされるが、平成23年度は1.51%(平成22年度は1.50%)となる。
 今回の保険料率の引き上げで保険料の負担がどれだけ増えるのか。月収30万円の会社員では、本人負担額の増加額は月200円から300円で、保険料合計額では月14,100円〜月14,400円となる。
 健康保険料率は、平成21年8月までは全国一律(8.20%)となっていたが、平成21年9月からは、都道府県別に設定されることになった。
 それぞれの医療費を反映したものとなったが、都道府県間の差が小さくなるよう激変緩和策が採られている。平成23年度は実際の保険料率と全国平均の保険料率(9.50%)との差の調整幅が10分の2となった。
 協会けんぽの支出は、加入者の医療費が支出全体の53%、高齢者の医療費を支えるための拠出金が39%を占めている。その他、加入者が病気で職場を休んだ際の手当金が支出全体の7%、健診・保健指導費が0.8%、協会の事務費・人件費・システム費が0.7%などとなっている。 
 保険料率が上昇するしくみは簡単で、医療費の支出が年々増加する一方で、中小企業を取り巻く経済情勢は厳しく、賃金が減少しているからというもの。また、積立金も赤字を有し、平成24年度までに返済しなければならない。
 協会けんぽも医療費の増大を防ぐため、医療機関が誤った保険請求を行っていないかなどの点検の実施、事務経費の削減、ジェネリック医薬品の使用促進、定期的な扶養家族の再確認、不正受給の防止などの対策に取り組んでいる。
 平成23年度の政府予算案では、国庫補助率の引き上げは実現しなかったが、国の対策が講じられなければ制度維持が困難となる。今後は加入者一人一人が医療費の適正化に積極的に努めるなど、社会全体で取り組んで行かなければならない。