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   雇用保険法等の改正法案   

 
 最近の雇用の失業状況を踏まえ、労働者の生活の安定や再就職の促進を図るため、雇用保険の失業給付の充実を図るとともに、失業給付に係る保険料率を引き下げるなどの雇用保険法等の改正法案が、
2 月14日に第177回国会に提出された。
 改正法案の内容は以下のとおり。
■失業等給付の改正(平成23年8月1日施行)
 失業者に対する基本手当の算定基礎となる賃金日額の下限額を2,320円(改正前は2,000円)に引き上げる。
 賃金日額の上限額については、受給資格者の年齢に応じて、以下の額に引き上げる。
・60歳以上65歳未満 15,020円(同14,540円)
・45歳以上60歳未満 15,730円(同15,010円)
・30歳以上45歳未満 14,300円(同13,650円)
・30歳未満     12,870円(同12,290円)
 以前、賃金日額の下限額は、最低賃金の全国加重平均の額を上回っていたが、平成15年度以降はほぼ毎年マイナス改定となり、平成22年度には下限額が最低賃金を下回る状態となった。これを解消するために、下限額を引き上げるともに、それに併せて上限額の見直しが行われた。
 基本手当の給付率に応じて定められている賃金日額の範囲については、受給資格者の範囲に応じて次の額となる。
・60歳未満の受給資格者の基本手当の給付率が100分の80〜100分の50となる賃金日額の範囲   
  4,640円以上11,740円以下(同3,950円以上
  11,410円以下)
・60歳以上65歳未満の受給資格者の基本手当の給付率が100分の80から100分の45となる賃金日額の範囲
  4,640円以上10,570円以下(同3,950円以上 
  10,230円以下)
2.就業促進手当の改正(平成23年8月1日施行)
 早期に再就職した場合に支給される再就職手当については、給付率を引き上げる。給付日数を1/3以上残して就職した場合の給付率は、現在の暫定措置である40%から50%に恒久化する。
 給付日数を2/3以上残して就職した場合の給付率は、現在の暫定措置である50%から60%に恒久化する。
 就職困難者(障害者等)が安定した就職に就いた場合に支給される「常用就職支度手当」について、給付率の暫定的な引き上げ(30%〜40%)を恒久化する。
3.国庫負担の暫定措置の廃止時期に関する改正(公布日施行)
 雇用保険の国庫負担については、引き続き検討を行い、できるだけ速やかに安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置(国庫負担割合を法定〈4分の1〉の55%相当額〈13.75%〉に引き下げている措置)を廃止する。
4.雇用保険料率の改正(平成24年4月1日施行)
 失業給付に係る法定の雇用保険料率は、改正前は一般の事業所については1,000分19.5(うち失業等給付に係る率は1,000分の16)となっているが、1,000分の17.5(うち失業等給付に係る率は1,000分の14)に引き下げる。
 雇用保険料率の弾力的変更(労働保険特別会計の雇用勘定積立金の状況による雇用保険料率の変更)は、雇用保険料率の変更に伴い、一般の事業所で1,000分の13.5から1,000分の21.5の範囲で行うことになる。