社会保険の今ホットな話題

 

  年金額が10月から引き下げに  

 
 年金額の特例水準の解消は、3段階で実施することが法律で決まっているが、その第一段階が10月1日から始まった。
 現在の年金額は、本来よりも高い特例水準となっている。これは、平成11年から13年の物価下落時に本来なら年金額を引き下げるところを、高齢者の生活に配慮し平成12年度から平成14年度の年金額を特例的に据え置く措置が取られたことによる。
 その後平成16年改正で、物価上昇時には年金額を据え置き、物価下落時には年金額を下げる仕組みが導入されたが、特例水準は解消されず本来よりも2.5%と高い水準となっていた。
 特例水準分の年金過払いは年間1兆円で、過去の累計で7兆円に達しているとの試算があり、年金の過剰な給付が指摘されていた。このため、世代間の公平を図り現役世代の将来の年金額の確保につなげるため、早期に特例水準を解消することが法律に盛り込まれた。
 解消のスケジュールは、物価や賃金に変動がない場合では、平成25年10月からマイナス1.0%、26年4月からマイナス1.0%、27年4月から0.5%年金額を引き下げて本来水準に戻すというもの。
 平成25年10月から26年3月までの年金額については、24年の物価の対前年比変動がなかったため、予定した1.0%の引き下げが実施される。
 今回の政令では、特例水準の年金額に乗じる率を0.978から0.968とすることを規定。10月以降の満額の老齢基礎年金額は月額65,541円(年額786,500)から月額64,875円(年額778,500円)と月額で約666円下がる。厚生年金のモデル(標準的)世帯の年金額は月額230,940円(年額2,771,300)から月額228,591円(年額2,743,100円)と2,349円下がる。
 最終的に満額の老齢基礎年金を受け取っている人は月額63,866円、モデル世帯で月額225,040円で、現在よりそれぞれ1,700円、5,900円程度引き下げられる(実際には物価変動などの影響を受ける)。
 今後、段階的に差が解消されて本来水準に戻ったときに、平成16年改正による給付水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)がスタートすることになる。