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社会保険の実務に役立つトピックス
日米社会保障協定発効
  • 平成18年4月から、障害年金の受給者の自立を促進するための見直しが行われました。
【65歳以降は障害基礎年金と遺族厚生年金が併給できるようになりました】
  • 公的年金制度からは、老齢になった、障害になった、遺族になったなどの要件(支給事由)に該当したときに、それぞれ老齢基礎年金・老齢厚生年金、障害基礎年金・障害厚生年金、遺族基礎年金・遺族厚生年金が支給されるようになっています。
  • 従来は、たとえば老齢基礎年金と老齢厚生年金の併給や障害基礎年金と障害厚生年金の併給など、原則として同じ支給事由の年金しか併給できない仕組みになっていました。ただし遺族厚生年金については、遺族の老後の所得保障に大きな役割を果たす点に配慮し、老齢基礎年金との併給は認められています。
  • 障害基礎年金の受給者は、65歳で老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権が発生したときは、障害基礎年金か老齢給付(老齢基礎年金・老齢厚生年金)のいずれか一方を選択することになっていますが、一般的に障害基礎年金を選択するケースが多くなっています。これは、障害基礎年金は定額(1級の障害は老齢基礎年金の満額の1.25倍、2級の障害は老齢基礎年金の満額)となっていますが、老齢基礎年金の額は保険料を実際に納めた期間を基に計算するしくみになっていることによります。
  • 具体的には、 老齢基礎年金は40年間または加入可能年数(生年月日によって40年未満でもよい)のすべて保険料を納めて満額になりますが、保険料免除期間があればその分が減額されます。つまり、障害基礎年金を受けている期間は、国民年金保険料が免除(法定)される取り扱いになっているため、その期間が反映されず老齢基礎年金額が低額になってしまいます。また、老齢厚生年金も、短い就労期間や低賃金などにより低額になってしまいます。以上のようなことから、一般的に障害基礎年金の方が老齢給付より額が多くなるのです。
  • このように、従来は障害基礎年金か老齢給付かの選択肢しかないため障害基礎年金を選択する傾向にありましたが、この場合、障害を持ちながら就労している人にとっては、自ら納付した厚生年金保険料が掛け捨てになってしまいます。
  • そこで、こうした制度上の不備を解消し、就労期間を年金制度上でも評価できるようにするために、平成18年4月からは、65歳以降は障害基礎年金と老齢厚生年金が併給できるようになりました。
  • また現在では、障害基礎年金の受給者の配偶者が死亡し遺族厚生年金の受給権が発生したときは、障害基礎年金か遺族厚生年金のいずれか一方を選択することになっています。このため、配偶者の死亡前は老齢厚生年金という所得保障があったわけですが、死亡後は障害基礎年金のみか、遺族厚生年金のみで生計を維持していくことになります。
  • そこで、障害者の老後生活の安定を図るため、平成18年4月から、65歳以降は障害基礎年金と遺族厚生年金が併給できるようになりました。なお、障害基礎年金の保険料納付要件の特例措置(初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がなければよい)の期限が平成28年3月末まで延長されました。