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   少子・晩婚化の進行   
 
 厚生労働省(統計情報部)が6月1日に公表した平成16年人口動態統計により、急速に進む少子化の姿が明らかになった。  

 平成16年の出生数は111万835人で、前年(112万3,610人)より1万2,775人減少した。第2次ベビーブーム期(昭和46〜49年)は1年間に200万人を超える出生数であったのが、昭和50年以降は減少が続いていた。平成4年以降は増減を繰り返す傾向にあったが、平成13年から4年連続で減少する結果となった。

 出生数を母の年齢階級別にみると、30〜34歳が41万5,948人と最も多くなっている。25〜29歳は37万245人で前年(39万5,975人)より2万5,730人減少、過去数年でも連続して減少を続けている。一方、35〜39歳は15万242人で前年(13万9,489人)より1万753人増加、過去数年をみても増加傾向にある。

 出生順位別(第1子、第2子、第3子以上)では、いずれの順位も減少している。第1子の数は53万7,974人と出生数全体の半分で、前年(54万7,170人)より9,196人減少したが、減少数全体の7割を占めている。第1子出生時の母の平均年齢は28.9歳。

 1人の女性が生涯に生むと仮定した場合の子どもの数(合計特殊出生率)は平成16年は1.29となった。過去の推移でみると、第2次ベビーブーム期の昭和48年(2.14)以降低下が続き、平成15年、16年と連続で調査開始以降過去最低を記録している。

 合計特殊出生率を年齢階級別にみると、29歳以下は前年に引き続き低下しているが、30〜34歳は上昇に転じ、35歳以上では前年に引き続き上昇傾向となっている。出生順位別では、第1子と第3子は低下、第2子は上昇している。

 都道府県別では、低い順は東京都(1.01)、京都(1.14)、奈良(1.16)で、高い順は沖縄(1.72)、宮崎(1.52)、福島(1.51)となっている。

 少子化は、夫婦の出生力の低下が原因として上げられるが、予想を超えた晩婚化・未婚化の進行による婚姻率の低下も大きく影響する。

 今回の人口動態統計によると、平成16年の婚姻件数72万429組で、前年(74万191組)より1万9,762組の減で3年連続の減少となり、婚姻率(人口千対)は5.7と前年(5.9)を0.2下回った。

 婚姻件数は、昭和40年代後半に100万組を超え、婚姻率も10.0以上となっていたが、その後は減少に転じることとなる。平成5年以降は横ばいに推移するが、平成14年以降3年連続の減少となる。

 年齢階級別にみた女性の初婚率(女性人口千対)の推移をみると、20歳代は低下傾向である一方で、30歳代は上昇傾向にある。

 平成14年に公表された将来推計人口(中位推移)によると、日本の総人口は平成18年をピークに減少時代を迎え、現在のまま少子化の進行が続くと、平成62年度には現役世代1.4人で高齢者1人を支えることになると見込まれている。少子化の進行は将来の社会経済のみならず、世代間扶養のしくみをとる年金制度にとって、極めて深刻な影響を与えることが懸念されている。

 出生力の低下や晩婚化・未婚化の背景には、結婚や出産に関する価値観の変化や職場優先といった企業の慣行、核家族化や都市化の進行による仕事と子育ての両立の負担感の増大といった点が指摘されている。

 国や地方自治体では、次世代育成支援対策推進法に基づき、子育てを多面的に支援する計画が進められているが、民間企業においても出産・育児へのサポート対策が急ピッチで進められている。 

「月刊厚生年金」平成17年7月号掲載